【授乳中の漢方薬】赤ちゃんへの影響|服用のタイミング|気をつける生薬まとめ

ゆき
ゆき

2児の子育て中のママ精神科医ゆきです。

今日は授乳中に漢方薬を内服する場合の気をつけるポイントについてお話しします。

授乳中に漢方薬を飲んでも大丈夫?

産後のイライラや不安感、軽い風邪症状など、漢方薬くらいは飲んでみたいなと思われることはあると思います。

飲んでみたいけど「授乳中で赤ちゃんへの影響が心配…」「でも何を気をつければいいか分からない…」という方は多いようで、今回は気をつけるべきポイントについてまとめていきます。

漢方薬の成分も母乳に移行するので、新生児・乳児に影響を及ぼすことを考えなければなりません。

処方名を覚えたら良いかと思うでしょうが、実は医療用漢方製剤とドラッグストアなどで買えるOTC漢方薬で同じ名称でもエキス量が異なったり、含有生薬の種類や量が異なる場合があります。

【産後ママにおすすめ漢方薬】イライラや気分の落ち込みに|ドラッグストアで買える|授乳中もOK

例えば上記の記事内で紹介している女神散ですが、ツムラの医療用医薬品の女神散には大黄が入っていないのですが、コタローから出ているOTC医薬品の女神散には1日量6.6gの中0.8gと少量ですが大黄が含まれています。

ですので、処方名で覚えておくというよりは、気をつけるべき生薬が含まれているかどうかご自分で確かめられた方が確実だと思いますので、3つだけ注意すべき生薬を紹介いたします。

気をつけるべき3つの生薬を知っておこう!

大黄(ダイオウ)

大黄の成分のアントラキノン誘導体は母乳に移行し、子どもが下痢をしやすくなります。

また大黄の成分のセンノシドも、下剤の成分として有名です。市販薬のコーラックなどもセンノシドが主成分です。大黄の入った漢方製剤を内服する場合は、授乳中の服用を避けるか、授乳を一時中止したほうがよいとされています。

特に大黄の含有量が1日量中3g以上のツムラの医療用漢方エキス製剤をあげておきます。

  • [84] 大黄甘草湯 4g
  • [126] 麻子仁丸 4g
  • [61]桃核承気湯 3g
  • [105]通導散 3g
  • [113]三黄瀉心湯 3g

麻黄(マオウ)

麻黄に含まれるエフェドリンは、子どもに興奮やほてりなどを起こしやすくなります。

風邪の時に頻用される漢方薬には麻黄が含まれていることが多いです。

  • [27] 麻黄湯 5g
  • [85] 神秘湯 5g
  • [55]麻杏甘石湯 4g
  • [95]五虎湯 4g
  • [1]葛根湯 3g
  • [19]小青竜湯 3g

牛黄(ゴオウ)

牛黄は牛の胆嚢や胆道にできた結石いわゆる胆石で、『日本薬局方』にも記載されています。

ツムラの医療用漢方製剤には使用されていませんが、子どもに興奮や血圧上昇を引き起こしやすいとされています。

どれくらい母乳に移行するのか?

お薬がどのくらい母乳に影響を与えるのか気になりますよね。ひとつだけですが、例をあげます。

葛根湯服用後に母乳中の麻黄に含まれる成分エフェドリンが移行したのは10例中1例、甘草に含まれる成分グリチルリチンが移行したのは10例中5例で、母乳中に移行したのは0.009〜0.570μgと極めて微量で、赤ちゃんの影響はなかった。

(参考文献 :佐藤芳昭ほか.産科と婦人科.1983. 産婦人科漢方研究のあゆみ.1985より)

なのであまり心配しなくても良いというのが結論です。

服用するなら授乳後すぐがおすすめ

薬を服用して母乳中の薬の濃度が高くなるのは、2−3時間後と言われています。薬を服用した直後は問題ありません。なので服用するなら授乳後すぐがおすすめです。もし、授乳の間隔が短い場合は、薬を服用する前に搾乳しておくことをお勧めします。

授乳中に漢方薬を服用する場合は、医師や薬剤師に相談してください。

OTC漢方薬をお求めの際は、『大黄、麻黄、牛黄』の3つの生薬に注意してください。

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