【スリーグッドシングス】自己肯定感をあげる方法|正しいやり方や効果|セリグマンの論文を読んでみた

ゆき
ゆき

2児の母で精神科医のゆきです。

私も実際にやっている自己啓発法をご紹介します。

2021年6月からTwitterを始めて、せっかくだから何か毎日習慣的につぶやけることはないかなぁと思っていました。

自分が患者さんに1日に1つでも良いので良かったことや出来たことを書いて「自分で自分を褒めてあげましょう」と言っていたことを思い出し、自分もやってみようと思いました。

何かの形式にのっとって行おうと思い、スリー・グッド・シングス(Three Good Things)の方法を取ることにしました。毎日「3つの幸せ」として、その日の良かったことを3つだけ呟いています。他にもされている方達がいらっしゃって「いいね」を下さるのが嬉しいです。

今回はスリー・グッド・シングスの正式な方法や研究結果、自分が実際やってみて感じた効果についてまとめてみました。

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自分では「良いこと」に気付きにくい

診察室に入って「悪いことばかり起こるんです…何も出来なくて…」と肩を落とす患者さんの話をゆっくり聞いていくと、私から見ると良いことも起きているし、出来ていることも多いんです。

ある患者さんは「ラムネの瓶のビー玉みたいに喉に何かが詰まったようで辛い」という主訴で来院されました。お話を聞いて処方もしましたが、次の外来の時にも「あまり良くならない」とまた色々と困っていることをお話しされました。

ひと通り話終わってから、私が「前に言っていた喉の詰まる感じはどうですか?」と聞くと「そういえば…なくなっています…」と。(ちなみに半夏厚朴湯が著効しました。)

1番しんどいと思っていた症状が消えたことも忘れてしまっていました。人って悪いことは気付きやすいんですが、良いことがあっても自分では気付きにくいんです。気分が落ち込んでいるとどうしても視野が狭くなります。

同じように出来ていることがあっても、出来なかったことを数えてしまいがちです。誰かから指摘されたり、褒められたりすると気付く時はありますが、大人になるとなかなか面と向かって褒められることってないですよね。

子供の時は小さなことでもできると褒められることが多いです。「ごはん食べられたね」「いっぱい寝れたね」「歩けた!すごい!」なんて、当たり前なことで褒めてもらえる素晴らしい世界です。

でも「当たり前」って本当に難しい。些細なことだと思ってやっている事は実はすごいことだと私は思います。大人だって褒められるべきなんです。だから自分で自分を褒めてあげましょう。

私はよく「自分ってえらいなぁ」って心の中で思うようにしています。

仲の良い友達同士LINEで「今日も仕事に行ったなんてえらい」「しんどいのにご飯作ったなんてすごいね」と褒めあったりもしています。

コロナ禍で人との関わり合いや外出頻度が減り、毎日良いことないな、代わり映えしないなと思っている方は多いと思います。でもそんな毎日にも小さな良いことは潜んでいるはずです。

スリー・グッド・シングスという方法は、些細な「良いこと」や「出来たこと」に気付いて「自分で自分を褒める習慣をつける」のにおすすめです。

スリー・グッド・シングスって何?具体的なやり方は?

スリー・グッド・シングスとはポジティブ心理学の提唱者、ペンシルベニア大学のセリグマン教授が提案した非常にシンプルな自己啓発手法です。

正式なスリー・グッド・シングスの方法は以下の通りです。

  • 今日あった良いことを3つ書く
  • その3つの良いことがなぜ起きたのかをそれぞれ理由を書く

Three Good Thingsの頭文字をとって正式な方法を以下「TGTエクササイズ」と呼びます。

すでに実践されている方で、「あれ?理由もいるの?」と思われた方がいるかもしれません。

実はひとつひとつの「良いこと」が起きた理由までを書くのが、正式な方法なんです。

でも私も毎日理由までは書いていません。

良いことは本当に些細なことで構いません。「よく眠れた」とか「ご飯が美味しかった」とかそんな感じです。

理由を書くのは、毎日続けるにはちょっと面倒なのとTwitterにおさまりきらないから私は省略しているのですが、少し書き方を変えればそれが理由になります。

例えば「お昼ご飯を作らずにすんだ」→理由「夫と子供が作ってくれたから」みたいな感じです。

理由まで書くと良いことは、なぜそれが起こったのかを理解できると、次回の自分の行動に活かせるからかと思います。

余裕があればやってみるのも良いですが、まずは継続することを目標に3つの良いことを書くだけでも十分かと思います。

どんな効果があるの?ポジティブ心理学提唱者の論文を読んでみた

インターネット上にセリグマンの論文の結果を「1週間TGTエクササイズをすると、6ヶ月間にわたって幸福度は上がり、抑うつ症状は軽くなりました」とさらっと引用している記事は多く、読まれた方も多いかと思います。

でも何か疑問に思うことはありませんでしたか?

私が引っかかったのは、「TGTエクササイズ、1週間だけしかしてないの?」ということです。継続せずにたった1週間だけのTGTエクササイズで6ヶ月間も効果が持続したなんてほんまかいなと思ったので、ちょっと原著を探して読んでみました。(必要そうなところだけかい摘んで読んだので読み飛ばしがあるかもですが…)

Seligman, M.E.P., Steen, T.A., Park, N., & Peterson, C. (July 2005). Positive Psychology Progress: Empirical Validation of Interventions. American Psychologist, 60,410-421.

提唱者のセリグマンの論文です。TGTエクササイズを1週間毎晩、寝る前に行った結果です。論文の図をそのまま引用させて頂きます。

まず幸福度(happiness)を見ていきましょう。

based on Seligman (2005)

nは被験者数です。プラセボ群は70人、TGT群は59人。あまり多くはないですね。

黒い棒グラフのTGT群を見てみると、6ヶ月先まで幸福度が上がり続けているのが分かります。

based on Seligman (2005)

抑うつ症状(depressive symptoms)の方はアップダウンはありますが、最初に比べて優位に低い状態を6ヶ月後も維持しているのが分かります。

被験者はTGTエクササイズを「必ず1週間は継続すること」と言われていましたが、「その後も続けてください」とは言われていませんでした。1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後の追跡調査の時にTGTエクササイズを継続しているかどうかも確認すると、幸福度に関しては全期間において継続している被験者の方が優位に高く、抑うつ症状に関しては1ヶ月後の追跡調査において、継続している被験者の方が優位な効果があったそうです。

つまりまとめると、「毎日TGTエクササイズをやることは幸福度を上げるのに効果的で、また6ヶ月間は継続期間に比例して幸福度が上がる」ということです。

継続した人の割合や、その人たちだけの結果も見てみたいですね。

自分が続けてみて思うこと。何も思いつかないという方へ。

今日は嬉しいことがあったな、良い日だったなと思ってぱぱっと3つ思いついて呟いている日もありますが、今日はしんどかったな、なんか良いことあったけと思いながらパソコンに向かってる日もあります。

悪い日だと思っていても、悪い日の中にも考えてみると良いことは潜んでいて、それを思い返して「まぁ悪いことばっかりじゃなかったか」とちょっとほっとする…1日の終わりにするのに良い習慣だなと個人的に思います。

もやもやしたままだと眠りにくいですしね。その日のことをその日でリセットすることは質の良い睡眠を得るためにも重要だと思います。(私の場合は主に夫とのケンカをその日のうちに解決するように心掛けています…)

続けていくと自分が良かったと思うことの傾向が分かってきます。自分の喜ばせ方が分かると、良かったことが起こるように予測して動くことができます。

人に言われて嬉しかったこと、

専用のノートを作って書き留めるのもいいし、スケジュール帳の端に書くのもいいし、Twitterで呟くのも良いと思います。ノートに書いてそれを写真にとって、TwitterやInstagramにあげている方もいました。良い方法ですよね。

メンタル向上特化型日記アプリ『3 Good Things!』というのもありました。 「家族」や「食事」などカテゴリを選ぶと、良いことの具体例リストが出てきます。何を書いて良いかわからないという方はそこから選んでみるのも良いかもしれません。それをスクリーンショットしてTwitterにあげるのも良いですね。

何を書いていいか分からないという方には、千葉大学院教授で認知行動生理学を担当されている清水栄司教授のアレンジ方法がいいかもしれません。3つのいいことを①できたこと②楽しかったこと③感謝することに分けて書き出し、それぞれの項目に対して、ポジティブな感想を書き込む方法です。

少し制約ができることによって思いつきやすくなるかもしれません。

まとめ

否定的な研究結果ももちろんありますが、あまり時間はかからないし、日記代わりにとりあえずやってみてはどうでしょうか。1週間、1ヶ月と毎日継続できたということが自信に繋がる事もあります。

X(旧Twitter)で#スリー・グッド・シングスをつけてあるツイートを見つけては読んでいます。絡み方がよく分からず、フォローやコメントして良いのかなとか悩んだ挙句に、ほぼ「いいね」だけで終わっていますが…

もし良かったら一緒に始めてみましょう。

毎日の「良いこと」や「出来たこと」に気付いて自分で自分を褒める習慣をつけてみませんか。

お仕事や家事育児、それ以外にも色々と忙しい毎日の中で、みなさんが評価していないだけで、できていることはとても多いはずです。5分程度だけ寝る前に振り返って「今日もまずまず良い日だった」と皆さんが充実感を得られるようお祈りしています。

以上、スリー・グッド・シングスについてでした。

追記(2022.01.14)

2021年12月からTwitterでスリー・グッド・シングスをつぶやくのをやめました。

手帳を新調しまして、手書きに移行していこうと思ったからです。

3つだけじゃなくたくさん書くときもあります。それ自体が日記にもなっているような感じです。

スリー・グッド・シングス以外にも日記やToDoリスト、生理周期などの体調やメンタルの記録もしています。子どもの体調や睡眠時間や、献立やプレゼントの記録など。自分のリズムや傾向が分かるのは良いことですね。

なかなか毎日時間が取れるわけではないですが、1日の終わりに手帳に向かう時間を作るのは私にとって癒しの時間になっています。

ようやくこれだ!という手帳に出会えましたので、お薦めしておきます。

ほぼ日手帳のA5サイズのカズンを使っています。

大きいんですけど、何年も続けて、時間ができた時に振り返ったら楽しいかなと思います。

Instagramでは育児やメンタルヘルスについて情報発信していますので是非フォローしてください。

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