【産後ママにおすすめ漢方薬】イライラや気分の落ち込みに|ドラッグストアで買える|授乳中もOK

ゆき
ゆき

2児の母で精神科医のゆきです。

今日は抑うつ気分やイライラ、不安に効果のある漢方を紹介していきます。

産後は慣れない育児に、睡眠不足、ホルモンバランスの乱れで、イライラしたり、気分が落ち込んだり、精神状態が不安定になりやすい時期です。今まで経験したことのない精神的な症状が初めて出る方もいます。

また産後数年経っても、生理がなかなかこなかったり、授乳が終わっていなかったりとホルモンバランスが不安定な状態は続きますし、自我が出てきたイヤイヤ期の子どもにイライラしてしまったり、夫に対して許せないことが増えたりと自分だけでどうにかできる問題でなく、他からの影響で精神症状が出てしまって辛い方は多いと思います。

そんなママたちの助けに少しでもなればと、おすすめ漢方薬をまとめてみました。

小さい子どもがいる場合は、受診して処方箋をもらって薬局に行って処方を受け取ってとするのはなかなかハードルが高く難しいと思うので、今回はネットでも購入できるOTC漢方薬の紹介をします。

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ドラッグストアでも買える産後ママにおすすめの漢方

医薬品には、薬局やドラッグストアなどで処方箋なしに購入できるOTC(Over The Counter)医薬品と主に医師が処方する医療用医薬品があります。漢方も種類は限られますが、薬局やドラッグストアで購入できるものがあります。

医療用漢方製剤は医療用医薬品として効果が認められていて、公的保険対象となり、その場で医師や薬剤師に相談できます。

OTC漢方薬は一般用医薬品の中で第2類医薬品に含まれます。「ちょっと風邪気味だなぁ…」というような軽度な不調や日頃よく経験する症状は自分で服薬(セルフメディケーション)することもありますよね。精神的な不調も軽度な部類ならセルフメディケーションは可能だと思います。

ただし、分からないことは薬剤師や販売者に確認してください。また医療用漢方製剤とOTC漢方薬で同じ名称でもエキス量が異なったり、含有生薬の種類や量、製造方法もメーカーによって、異なる場合もあるので注意してください。

抑肝散(ヨクカンサン)

聞き馴染みが1番ある漢方かもしれません。(精神科医だけかもしれない…)

東洋医学における「肝」は感情の調節をしたり、自律神経系によって体全体の機能を順調に調節する働きを担っています。西洋医学の肝臓とはちょっと違うイメージです。

「肝の高ぶり」がいわゆるイライラということです。それを抑えてくれるのが抑肝散です。

元々、赤ちゃんの夜泣き(疳の虫)にも使われてきていて、イライラしているママにも飲ませると症状が改善しやすいので、「母子同服」にも用いられることもあります。

体力がやや衰えた人で、イライラだけでおさまらずに興奮して怒りやすく、眠れないなどの精神症状もある方、お腹を触ると左優位で腹直筋が硬く緊張している場合が多く、瞼や顔の筋肉の痙攣、手足の震えなどを伴う場合があります。落ち着きがない、夜泣きなどのあるの子供にもおすすめです。

抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)

抑肝散加陳皮半夏は抑肝散に陳皮と半夏が加わったものです。抑肝散が効く症状プラス、胃腸が弱く、食欲があまりない方におすすめです。抑肝散が合う人より体力が低下していて、イライラが慢性的になっている方、腹直筋の緊張、左の腹部大動脈の拍動が顕著なことが多いです。

こちらも落ち着きがない、夜泣きなどのある子供にもおすすめです。

半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)

体力は中等度で、神経質で几帳面な性格の方、耳鼻科的に異常はないのに、喉や食道が塞がる感じ、異物感がある人にぴったりの処方です。イライラというよりは、不安や抑うつ傾向、不眠がある方に合います。

胃あたりを叩くとチャポチャポと浸水音を認める場合があります。

つわりに使われることもあります。

クラシエからは錠剤も出ています。

加味逍遙散(カミショウヨウサン)

女性の更年期障害によく使われます。逍遥とは「そぞろ歩きする」という意味で、昔から症状がさまざまに移り変わる不定愁訴が多い方におすすめです。

やや虚弱体質気味で、肩こりがあり、疲れやすく、様々な自律神経症状(めまい、動悸、頭痛、不安、不眠、イライラ、冷えのぼせ、肩こり、四肢の倦怠感、発作的な発汗、便秘など)に使われますが、月経異常や更年期障害と関連して現れることが多いです。

半夏厚朴湯と比べると、発作性の発汗や熱感を感じたり、イライラがある場合には加味逍遙散の方が合います。

柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)

体力が中等度以上で、体格ががっしりしている方の、不安や抑うつ、不眠、イライラなど多彩な精神身体症状に使います。頭痛や頭重、肩こりを伴う場合もあります。

同じイライラでも抑肝散は興奮して怒る人に、柴胡加竜骨牡蛎湯は苛立ちが内在してる人のイメージです。

【12】【第2類医薬品】ツムラ漢方柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒 48包(24日分)「ストレスや不安で眠れない方に」サイコカリュウコツボレイトウ【s-s1】

クラシエからは錠剤も出ています。

女神散(ニョシンサン)

女性ホルモン失調によって出現する精神神経障害を「血の道症」というのですが、産前産後の精神症状には女神散もおすすめです。更年期障害にも使われます。

女神といっても「めがみ」ではなく、「女性にとって神がかり的に効く」ということで名付けられました。

加味逍遙散が合う方よりは体力が中等度〜やや充実した方で、のぼせやめまい、不安や動悸、不眠、頭痛、耳鳴り、肩こり、月経異常などの精神症状を訴える場合に用いられます。

ツムラの医療用医薬品の女神散には大黄が入っていないのですが、コタローから出ているOTC医薬品の女神散には大黄が含まれています。1日量6.6gの中0.8gと少量ですが、授乳中の方は赤ちゃんに下痢を誘発するアントラキノン誘導体が母乳中に移行しますので注意してください。

まとめ

怒りをコントロールするアンガーマネジメントも大切ですが、それでもなおどうしようもできないイライラなどに対して、漢方薬を使ってみるというのも選択肢の一つとして知っておくといいと思います。

頓服的に使っても、1包だけでも効果が出る人はいますが、大体1〜2週間飲み続けて、効果があるかどうか判断してみてください。

ただし漢方薬もお薬ですので、やはり人によって体に合う合わないがあります。

副作用も全くないというわけではありません。また副作用については別の記事にまとめたいと思います。

また漢方薬の成分も母乳中に移行します。新生児や乳児に影響を及ぼすことを考えないといけないのですが、特に注意すべき生薬としては、大黄、麻黄、牛黄があげられます。こちらも別の記事にまとめたいと思います。

お母さんが精神的に安定していると、子どもも精神的に安定しやすいです。母子同服できる漢方もありますので、お困りな方は選択肢の一つとして考えてみてください。

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